The Doshisha Times 春号「聖句」

The Doshisha Times 春号「聖句」

『The Doshisha Times 春号』の巻頭、創設者新島襄の写真の右側に、前回お話しさせて頂いた「新島先生のことば」があり、左側には「聖句」が掲載されています。「聖句」って聖書の中の言葉なのだそうです。恥ずかしながら、不知でした。
今回は、同誌のリニューアルということもあり、旧約聖書 詩篇19から冒頭の4項が掲載されています。
詩篇19は神の啓示を讃える歌で、イギリスの作家クライブ・ステープルズ・ルイスはこの詩篇を「詩篇全体の中で最も優れた詩であり、世界に残された多くの詩の中で最も優れた詩のひとつ」と言っているそうです。人伝てです。因みに、彼は「ナルニア国ものがたり」の著者として有名で、第1巻の「ライオンと魔女」は映画化もされていて、私も見た記憶があります。

[旧約聖書 詩篇19ー1,2,3,4]
天は神の栄光を物語り 大空は御手の業を示す
昼は昼に語り伝え 夜は夜に知識を送る
話すことも語ることもなく 声は聞こえなくても
その響きは全地に その言葉は世界の果てに向かう

[私訳]
夜空には幾千億の星々が昼には陽の光が神の御業を示し
この世は来る日も来る日も神の啓示に溢れている
それは語られるものでも声として聞けるものでもなく
この世を包み込む摂理そのものであり森羅万象に及ぶ

印刷には引用として「詩編19―2,3,4,5」とありますが、調べてみると、どうも詩編19の1項から4項前半までの誤りのようです。4項の後半以降14項まで以下の詩が続きます。

4....神は日のために幕屋を設けられた
5.日は花婿がその祝いの部屋から出てくるように
|また勇士が競い走るようにその道を喜び走る
6.それは天の果てから昇り天の果てまで巡り行き
|その温もりを被らないものはない
7.主の御教えは完全で魂を蘇らせ
|主の証は確かで無知蒙昧なものを賢くする
8.主の諭しは正しく人の心を喜ばせ
|主の戒めは清く人の目を明るくする
9.主への畏れは清く常(とこしえ)に耐えることなく
|主の裁きは誠で悉く正しい
10.これらは金よりも多くの純金よりも慕わしく
|また蜜よりも蜂の巣の滴りよりも甘い
11.あなたの僕べはこれらによって戒めを受け
|これらを守れば大いなる報いがある
12.誰が己れの過ちを知ることができようか
|どうか私の隠れた咎から解き放ちたまえ
13.またあなたの僕べを引き止めて故意の罪を犯させず
|これに支配される事なきよう導きたまえ
|そうすれば私は過ち無き人となり大いなる咎を免れん
14.我が岩我が贖い主なる主よ
|願わくば私の言葉と私の思いがあなたの前に喜ばれんことを

 

因みに、我が家は代々浄土真宗の家系ですが、教養としての旧約聖書にはとても興味があります。映画監督の押井守氏も旧約聖書には詳しいようで、彼の作品『機動警察パトレイバー the Movie』にも以下のような一節が出てきます。

『エホバ下りて、かの人々の建つる街と塔を見たまえり。いざ我らくだり、かしこにて彼らの言葉を乱し、互いに言葉を通ずることを得ざらしめん。ゆえにその名は、バベルと呼ばる。』<旧約聖書 創世記11章>

『エホバ天をたれて下りたもう。御足のもと暗きこと甚だし。』<旧約聖書 詩篇18編9項>

不遜にも、神に挑もうとするヒトの行為を戒める言葉ですが、遺伝子操作技術やクローン技術開発などでまさに『神の領域』に踏み込もうとし、ツバメという歌にも感じるように、本来共存すべき自分以外の生きものたちに不寛容で利己的で、自らも絶滅へとひた走る現代の『ヒト』という種を戒める言葉でもあるのかもしれません。こんな時代だからこそ、『機動警察パトレイバー the Movie』は、その意味を踏まえながら、今一度見ておくべき映画のひとつではないか...と、勝手に思っています。

※アイキャッチ画像は、同級生から送ってもらった今月初旬の清水寺です。ゴールデンウィーク明けあたりから修学旅行生が戻ってきていて、京都も少しずつ活気を取り戻しつつあるそうです。

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文責:HP担当 藤原

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